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自作飛行機紹介(7)-3 高度世界記録達成 !  Mitchell wing U-2 [自作飛行機]

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( Mitchell U-2 同型機)

1983年 自作飛行機 Mitchell U-2 は C1クラスの 絶対高度世界記録と水平飛行高度世界記録に挑戦して見事に記録を更新しました。

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当時このレポートを「スカイスポーツ」誌(イカロス出版)で読んだ私は、心が震えるほどの感激を味わい、そのレポートを大事にしまい込んでおりました。ここに改めて、挑戦者デイック・ローレイ氏の周到な準備と勇気に敬意を表すとともに「スカイスポーツ」誌の復活を切望しつつ、その全文を掲載します。

<  CHALLENGE REPORT  
35馬力で高度2万5千940フィート!   Mitchell・Wing U-2 高度世界記録達成!

アメリカのデイック・ローレイ氏は先頃、ミッチェル・ウィング・ウルトラライト機を改造したU-2機で、2万5940ft(約7,912m)のクラス世界高度記録を樹立した。
わずか35馬力のカユーナ・エンジンを装備したウルトラ機が、ともかく8000m近くまで昇ったのである。
以下は、ローレイ氏自身のレポートの抄訳である。

山積みの難問をひとつひとつ片付ける。
 私は子供の頃から飛行機が好きでしたが、もっぱら模型のほうで活躍していました。しかし、1979年に人生最後の目標として、グライダー・パイロットをめざすことにしたのです。翌年パイロットの資格を取ると、ミッチェル・ウィングU-2のキットを買って作り始めました。
 U-2を選んだのは、エンジンを積んだモーターグライダーの性能を持っていること、前作のB-10はこのクラスでの数々の世界記録を持つ名機だったからです。私のU-2は1981年8月に初飛行しました。
これは、私の初めての動力飛行でもありました。
 1983年4月、私はこのU-2でパイクスピーク上空1万4110ftの高度に上昇しました。エンジンもミッチェル・ウィングの操縦性も申し分ありませんでした。そこで、私は、世界記録への挑戦を思い立ったのです。
 NAAの記録部をたずねると、C-1クラス(単発陸上機で総重量661lbs以下)の高度記録は英国で作られた1万6049mであることを教えてくれました。良好なコンでコンデイションに恵まれれば。U-2は2万mを超えられると思っていましたから、私は早速、記録飛行の挑戦を申請しました。項目は、「絶対高度」と「水平飛行高度」の2つの記録です。挑戦は、1983年8月11日から10月10日の間で、30日間の延長が認められています。
 記録確認のため、自記高度計を機首に備え付けました。これは着陸後に公式計測員立会いのもとに、判読されます。
 話しを聞いたカユーナ社は、新しいカユーナULⅡ-02エンジンを提供してくれました。このエンジンはCDI点火装置をもち、35馬力ですが、前の430Dに比べ5馬力強く、逆に重量は10lb軽くなっています。
しかし、私の記録飛行のクルー・チーフ、ミッキー・ジェンセンは、高高度飛行のためにはさらにミックスチヤー・コントロールの機能が必要だと言い、カユーナに32㎜のミクニ・キャブレターにつけられるミックスチヤーを探して、取り付けてくれました。このミックスチヤーを取り付けたために、排気ガス温度計とエンジン回転計も取り付けるようなりました。
 一方、スカイオックス社は、コンパクトな酸素供給システムを提供してくれました。これにテッド・ウィリアムス製のレギュレーター組み合わせ、軽くて高性能な酸素システムができあがりました。高度に応じて酸素供給量を変えられるレギュレーターの採用で、酸素ボトルの使用可能時間を50パーセントものばしました。
 さらに、エンジンにカウリングをつけ、密閉式のキャノピーをつけ、主脚を3センチほど長くしました。
主脚を長くしたのは、より高速で着陸する時に仰角を上げずにスムーズに接地するためです。燃料タンクも8ガロン入りの大型のものに変えました。
 次は、「水平飛行高度」の記録を公認してもらうための対策です。この記録は、その高度で15Km以上、かつ、計測開始時と同じかそれ以上のスピードで飛んだことが確認されなければなりません。デンバーの航空管制センターのレーダーで記録をトラッキングしてもらうことになりましたが、何しろU-2は主に木製ですから、レーダーにうまく映りません。そこで、4枚のアルミフォイルを貼った反射板を主翼下に張りました。
その結果、レーダースコープ上でわがU-2は空軍のC-130と同じくらい大きく見えるようになったのです。
 デンバーとの交信も難問ですが、ポータブル式のTR-720送受信機が軽量で高性能なので、これに決めました。
マイクは、酸素マスクの左下に穴を開け、必要に応じてブームを差し込めるようにしました。
 もうひとつの大きな問題はマイナス30度の低温対策です。試作品のウルトラライト用の寒冷時用フライト・スーツの上にミッチェルウィングのフライト・スーツを着て、靴下を2枚はくことにしました。クツは普通のジョギング・シューズです。手袋は皮製のドライブ用のものでしたが、この服装で結局、それはど寒い思いはしませんでした。
 すべてを装備したU-2は、648lbsの重量になり、規定を13lbs下回っています。何度かのテスト飛行は満足すべきものでしたので、私は高度記録を狙うのに有利なパイクスピークの近くのブラックフォーレストのメドラーク滑空場に進出し、先輩のグライダーマンの指導で上昇気流のつかまえ方や、有名な大乱流の発見法を勉強しました。ここの大乱流は、ふつうの飛行機をもバラバラにしてしまうほど恐ろしいものなのです。

高度記録は、1回のトライで達成!
 私達は、1万2000ftの高度で270度の方角から15ノット程度の風が吹き、終日有視界のできる8月の最良の滑空日和を辛抱強く待ちました。そして9月17日、絶好のコンデションの日がやってきました。
 午前8時、私はメドラーク滑空場を離陸し、パイクスピークに向けて長い上昇を始めました。離陸して5マイルほどで、良い上昇気流を発見し、まず1万ftまで上昇しました。さらに7マイル西でもっと強い上昇気流に入り、1万3000ftまで上がれました。上昇率は800ft/minを保っています。パイクスピークの北、8マイルのところで私は南に旋回し、さらに強い上昇気流を探しました。
やがて、1200ft/minの上昇気流に入り、S字飛行で高度を上げました。離陸後、1時間30分で上昇気流の頂点に達したようです。
 高度を保つためにはステイックをかなり手前に引いていなければなりません。機速はノーマルの85マイル/hから55マイル/hに下がっています。それでも、まだ失速速度を15マイル上回っています。エンジンは6000回転で好調に回りつづけ、ミックスチヤーはフルリーンですが、上昇率は100ft/min以下に落ちています。
 機首を北に向け、上昇気流を抜けるとスロットルをアイドルまで引いてスポイラーを立て、90マイル/hのスピードで2000ft/minの急降下に移りました。
 1万8000ftでレベルアウトすると、デンバーの管制センターに水平飛行の高度記録に入るための連絡を取りましたが、リフレクターの不具合なのか、レーダー上に私のU-2が映らないようです。
 しばらく飛んでみましたが、あきらめて、降下を開始しました。1万3000ftくらいで強いタービュランスに入ったため、スポイラーを閉じ、パワーを上げて北の方角に逃げたのですが、カユーナは確実にレスポンスして私を喜ばせてくれました。タービュランスを抜けて降下を続け、10時30分に着陸しました。
 2時間30分の飛行でしたが、自記高度計には、最高2万5940ftが記録されており、前の記録を9891ftも破って、FAI に公認されました。
 しかし、もう一度、水平飛行高度記録にトライしなければなりません。

水平飛行高度記録も達成!
 そして、11月25日、ようやくチャレンジの日がやってきました。
着陸後の自記高度計は、2万2525ftを示しており、ソ連で作られた前の記録を1036ft上回りました。
記録は現在、FAI に登録申請中です。
                                                      (完)

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無尾翼グライダー HORTEN と Me 163 KOMET  [自作飛行機]

U-2の画像を探しているうちに、 有名なドイツの HORTEN Ho1b 無尾翼グライダーの リストア映像にめぐり合いました。

HORTENは ナチスドイツのロケット戦闘機 Me163 KOMET 開発のきっかけとなったことでも有名です。

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航空用合板の劣化振りからも相当に古いもののようですが、瓦解したドイツ帝国のどこかで生き延びていたのでしょうか! 心に感じるものがあります。
慎重で丁寧なリストア過程をみると相当なお宝であることが窺がわれます。



主翼の後退角などの取り合いやキャノピーの形状は U-2 によく似ています。
Don Mitchell が 高性能モーターグライダーの開発にあたり、HORTEN無尾翼機 に触発されたのは想像に難くありません。

 ランデイング・スキッドの形状は明らかに Me163 に似ています。

それでは、ここでナチスドイツの秘密兵器 Me 163 KOMET の極秘映像公開です!
当時のドイツ科学の粋を極め製造されたロケット戦闘機ながら、敗戦直前の物資不足から主翼が木製桁であったとは意外でした。




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DIYで飛行機造り(1) どんな飛行機を造ろうか? [自作飛行機]

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                                       (妄想のU-2もどき?)

お気に入りの自作飛行機を紹介してきましたが、私が希望の自作機は、かなり我がままなものです!

1. フルエンクローズド・コックピット の ULP とする。( となるとHummel UC か? )
  ULPとする理由は、
  (1)自作飛行機の飛行許可申請・認可において、ULP基準機は条件が大幅に緩和されていること。
  (2)高額な費用を必要とする「操縦免許」が不要で、所定の講習・テスト合格と申請で飛行許可を取得できること。

2. 手持ちのエンジン、ZENOAH G50 を生かせる機体 であって 、かつ、限りなくローコストで製作可能な機体(この時点で Hummel UC は抜ける。)

そのためには、PLANSをもとに素材から加工、製作するPlansBuilt,ScratchBuilt にならざるを得ない。  
   手持ちのPLANの中から利用できそうな部分を探し出すと

  (1) 胴体、翼骨格は木製で、KR2を参考にする。費用と重量の圧縮のためFRPカバーリングは行わず、代わりに薄厚航空合板のカバーリング仕上げとする。

  (2) 主翼桁はコストパフォーマンスから木製とする。 Test DUO モーターグライダーの主桁構造を参考にする。

  (3) リブはスタイロフォーム製で軽量化して、翼全面を航空用薄厚合板でカバーリングして強度を確保する。 U-2, CriCri, SD-1などの構造、工作法を参考にする。

  (4) ランデイングギアはテールドラッカー式にして総重量を抑制、主脚はCRICRIのFRP製主脚を参考に軽量化を図る。

  (5) 全体のイメージとしては、SD-1 を多少大きくして 主翼面積を10平方メーターにしたような感じ、空虚重量を180Kg以内に抑えて、ULPとして型式認定を取れるように工夫する。
big-sd1 structure.jpg

  (6) 駐機料節約のため保管場所は自宅車庫とする。そのため主翼、水平尾翼はデタッチャブルとして、小型トレーラーで 1人で運搬、組み立て可能な構造とする。CriCri のT字尾翼構造を参考にする。 
SD1 images.jpg

(7) 長大とならざるを得ない主翼は、アスペクト比を大きくして、上空でエンジンパワーオフでサイレントな滑空を楽しめるようにできれば最高!

(8) ロールコントロールは、初心者でも扱いやすい、スポイロン機構を検討したい。

そんな、良いとこ取りの虫の良いことを夢見ていますが、どこまで実現できるかな? 



続 どんな飛行機を造ろうかー2


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どんな飛行機を造ろうか?-2  (36) DIYで飛行機 [自作飛行機]

自作飛行機作りは、夢を膨らませ空想している時が一番楽しく、至福のひと時だと思う。
実際に、製作に入ってしまうと、工作の仕上がりに満足できなくて、イライラする事のほうが多いし。
何とか機体が完成しても、試験飛行となると恐怖で体中が引きつるくらい緊張するから、とても幸せなんて気分じゃいられない。

そこで今日は、息抜きかねて、マイULPモグラーの飛行イメージを空想してみることにしました。

専用トレーラーで運搬する関係上、T字尾翼にして、水平尾翼は、取り外し可能にするので
胴体の形状からよく似た パズマニーPL-4 の写真を参考に飛行をイメージしてみましょう。


war536a.jpg

スィッチオン!エンジンスタート


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滑走、ふっと車輪の振動が無くなってテイクオフ


PazmanyPL-4.jpg

上昇中 (主翼はもう少し長い10m,テスト飛行では風防は外しておいたほうがよさそう。機体の無骨さはこんなもんだと思う!)  爆音マックス[ちっ(怒った顔)]


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予定高度でエンジンオフ、一転、静寂の滑空に入る。
滑空中は地上との交信も大声を張り上げる必要ないし、ソアリング気分を盛り上げるのにぴったりの音楽があるとなおいいな~ 
渇いたのどをボトル・チューブで潤しながら、鳥になった気分で「コンドルは飛んでゆく」なんかどーだろう!    
高度が下がってきたらエンジン・リスタートで再上昇して何度でも滑空を楽しみたいな~。


imagesCARIUAXL.jpg
(この写真はPL-4ではありません)

ULPでも気分はソアラー!     聞こえるのは風切り音のみのサイレントフライト!

                              続  どんな飛行機を作ろうか?(3)

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夢のフライング・カー が 販売開始に! [自作飛行機]

今年4月に Flingtak1さんのブログ に紹介された空飛ぶ自動車の記事が気になって、その他の情報を調べてみました。




flying-car-PAL-V-ONE-h94012.jpg




PAL-V-One1.jpg




6877765812_16bdf40154_o.jpg

上記がオランダの PAL-V社が開発した空飛ぶ車、「PAL-V One (Personal Air and Land Vehicle)」。



2014年販売開始か!

「 PAL-V Oneの車としての最高速度は180km、燃費は11.9km/l。自動回転式のメインローターを広げ、ガソリン燃料で回るプロペラを伸ばして飛び立つと、陸路と同じく最高180kmの速度で約350~500kmの飛行が可能だという。ちなみに165メートル程度の舗装路があれば離陸できるそうだ。
PAL-V Oneは初飛行を終え、商業化に向けて投資家を募集中だ。2014年には量産モデルの発売開始を予定しているとのこと。                                   (by Autoblog Japan Staff )  」



それでは、Flying Car - Pal-V One プロトタイプ の実力をご覧あれ !




プロが製作したと思われるビデオの、迫力あるストーリー展開とトランスフォーマー振りは、見事ですね!
プロモーション・ビテオまで製作してヤル気マンマンなのですから、販売はかたいのでしょう。
そうなると、販売価格は一体どのくらいのなるのでしょうか?

気になりますね。



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