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テールドラッガー考(自作ULP) [機体設計]

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tail dragger は尾輪式飛行機の総称で,第二次世界大戦までの飛行機のほとんどはテールドラッカーでした。


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離着陸に熟練を必要とするとことから、最近は離着陸が楽なトライクル・ギア(前輪式)が主流になっています。

テールドラッガーの欠点を列挙すると
1.離陸時に前方視界が悪い。(蛇行して、進路を確認しろという教科書があるくらいです)
2.着陸時は、失速寸前まで速度を落として3点着陸しないと、ホップしてしまう。
3.着陸時にフルブレーキをかけると前転し易い。       など、など

しかし、今日でも特殊な性能を求められる飛行機の中にテールドラッガーを採用するものが存在します。

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荒地に強い特性を生かして、飛行場のない僻地の足となる、ブッシュ・プレーン

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空中マヌーバの極限性能を追求するため、ランディングギアーの小型軽量化を図ったエアロバチック・プレーン などです。

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重量制限の厳しいULPが飛行性能や機体強度を優先したい場合も、ランディングギアーの小型軽量化を追求するとテールドラッガーを採用することになります。
ミッチェルコロンバンの最新ULP MC30 Luciole がそれです。!

計画中の自作ULPも重量制限をクリヤーするためにテールドラッガーを想定していたのですが
尾輪式パイパー・カブを使用してのフライトシムの離着陸練習過程での技術習得は遅々としていて、自作ULPにテールドラッガーを採用してよいものか不安になってきた。

フライトシムでの離着陸練中の不具合を再検証してみます。

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通常、テールドラッガーの離陸滑走姿勢は、機首があがっていて前方の視界が悪いうえに、迎え風の抵抗が大きな姿勢なので、水平尾翼が浮いて操作できる速度に達するまでに長い距離を滑走しなければならない。

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速度が上がり、ようやく尾翼が浮いて操作可能になり、風の抵抗が少なくなったところから、さらに加速すると、離陸速度に達するので
この状態になった時に操縦かんをわずかに引いてやると機体は離陸を開始する。
実際には、離陸時の主翼のアタック角は浅い状態ということです。

以上の不具合についてテールドラッカーになにか設計上の対策をたてられないものだろうか
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例えば尾輪の脚を伸縮可能にして、尾翼の位置を最初から高く設定できるようにしたらどうだろう

尾輪の脚を最初からこの状態(離陸直前に操縦かんをわずか引いた時点の尾翼の高さ)に伸ばしてセットしておくと、スタート時から視界良好、加速良好、短距離離陸が可能とよいとこずくめになるように思えるのだが・・・・・・

続いて、着陸についても検証してみることにします。

通常、テールドラッガーの着陸の場合は、3点着地が推奨されているが

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訓練中の多くの場合は、主輪が先に接地してしまい、続いて尾輪が下がるので、主翼の迎え角を急増させてしまう。
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その場面で機速があると主輪のバウンドと主翼の迎え角の急増が重なり,再び機首から機体が浮き上がって2バウンド、3バウンドする原因となる。

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着陸速度が速すぎた場合は、急激な機首アップから失速状態に陥り、操縦不能で地面に激突する事になる。

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先の改善案で、尾輪脚を伸ばした機体で着陸する場合は、減速しながらフレアーをかけると、構造上、尾輪から接地するので、次に主輪が接地すると主翼の迎え角が更に減少して揚力が減少して機首が抑えられる結果、機首のホップアップは激減するはずです。
(失速速度よりかなり速い速度でも、フレアーが十分でなくても、尾輪着陸の姿勢に持っていくことができるとヘッドアップを避けることができるので、、失速による操舵不能の惨事も回避することができるはずです)


教科書的には、テ-ルドラッカーは失速寸前の3点着地がベストとされていますが、なかなかそうはいかないのが現実です。
海上自衛隊のT-6訓練でも、練習生には尾輪からの接地を推奨しています。
http://dansa.minim.ne.jp/AH-04-AU0022-Birinsiki.htm
一部抜粋引用
「空自でのT-6のCheck outでは機体をリバウンドさせて危険な状態にしないとの点から尾輪からの接地がBestと言われてました。  その理由は、飛行時間の少ない学生でも尾輪からの接地は容易であったことと通常の3点着陸は機首の引き起こし角が甘いとリバウンドし、グランドループを起こし易いと考えられ主輪の消耗も著しく早いとも考えられて いました。」

この事実に力を得て、テ-ルドラッカー改善検討を進めていくことにします。

テ-ルドラッカー改善の観点で新鋭MC30を観察し直すと、いくつかの既改良点を見出すことができました。

新鋭機のMC30は従来のテ-ルドラッカーに比べて

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主輪の脚と尾輪の脚との高さの差を少なくして、機軸を水平に近づけています。!

その結果、前方視界を確保して地上滑走を容易にしている。(前の写真のスーホイと比べてみてください)
主翼のアタック角を小さくして、離陸滑走中の空気抵抗を少なくして、短距離で離陸速度に達するようにしている。

従来のテールドラッガーとMC30を比較して、外観的に違和感なくこれらの改善がなされている理由は、プロペラの小径化と長いテールデザインによるものと考えられます。

以上の改良は着陸時の欠点改善にも生かされます。
フレアーをかけると、自然に尾輪から接地して、スムーズに着陸滑走体勢に移行できると思われます。

さて、これらを自作ULP機に応用するにはまだ課題がありそうですが、だんだん方向は見えてきたようです。


続く
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コメント 5

tsun

尾輪式とか知りませんでした。
でも見た目は、前輪式より尾輪式の方がよく見えますよね。
映画とかで見慣れているためでしょうか。
by tsun (2018-04-15 00:16) 

ロートレー

tsunさん
最近の旅客機とかジェット戦闘機とか高速機は3輪式が大半ですね。
太平洋戦争の軍用機、特にゼロ戦とかは尾輪式でも空をにらんでいるようで格好良いと感じます^^
by ロートレー (2018-04-15 06:45) 

ma2ma2

テールに車輪のある飛行機って地上で曲がるときとかどんな原理なのか不思議に思います(^^)
PIPERなども着陸時は機首上げしますね!
by ma2ma2 (2018-04-15 10:23) 

ロートレー

ma2ma2さん
ラダーペダルからラダーにつながるワイヤーを分岐させて、尾輪も操作するスタイルが多いですね
主輪の後方に重心があるためグランドループを起こしやすく、初心者は真っ直ぐに走らせるのが結構大変です(汗)
着陸は機首上げのタイミングが一番難しいのではないでしょうか
by ロートレー (2018-04-15 13:42) 

ちび苺号

はじめまして。
MSFS2020から始めた初心者です。
尾輪機ピッツスペシャルが好きです。
尾輪から接地、試してみます。
ご教示ありがとうございます。<(_ _)>
by ちび苺号 (2022-12-19 21:17) 

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