初めて、ブドウの苗を植えた初心者(自分)にとって、もっとも難しく、戸惑いを感じるのは

① 花穂を得ること(つぼみを得ること)
② つぼみを落とさずに着床させて開花させること
③ 開花した花を受粉させて・結実させること

この3つの難しさに尽きるのではないでしょうか。

苗を植えて3~4年目すると、ようやくブドウは花のつぼみをつけるようになりますが、大いなる期待に反し、つぼみは開花する前に落ちてしまうし、何とか開花したとしても、ほとんどは結実することなく落ちてしまいます。

それらはいずれも、成長力旺盛なブドウの幼(若)木の特性に起因するものです。

すなわち、ブドウなどのツル科植物には、周囲の樹木などの上まで伸びて太陽光を独占しようとする性質があるので、側枝が上に伸びる余地があると、上へ伸びることを最優先するあまり自ら花や果実を落としてしまう、所謂「花振るい」(花流れ)または「実振るい」と呼ばれる症状を呈するのです。

初心者が、それらを回避して、鈴なりのブドウを夢見るために専業農家のテクニックを探してみました。




1.芽傷処理

元々、ぶどうは枝の先端の方に芽が発生しやすい性質がある。


加えて、枝の先の方から基部(主幹側)に向かって、発芽を妨げる物質を流して先端の芽に成長エネルギーを集中させるメカニズムが働いていると言う。

この性質により、前年主枝を延長した若木では先端以外の発芽が抑制されるため、花穂に必要な新梢の発梢は先端部分に集中してしまい、それ以外の部分は新梢の発生が抑制されて花も実も付けないことになる。

(1)花穂に必要な新梢の抑制を防ぐために主枝延長枝に対して「芽傷処理」を行います

「芽傷処理」は芽の先端側2~3mm程度のところに、形成層(緑色になっている層)に届くくらいの傷を入れてやります。これにより先端側から流れてくる発芽抑制物質を遮断して抑制を防ぎ、発芽しやすい環境にするとのことです。

(これには逆説があり、幹幹部から梢の先端に発芽促進物質が流れており、結果枝中間部にある芽はスルーされ易いので、芽より先端梢側に傷処理して発芽物質を発芽部に滞留させるのが有効であると説明するものもある。
幸い、いずれの説をとっても、芽傷処理の位置と対処方法は同じです。)

主枝延長枝〔昨年の結果枝)に対しては「芽傷処理」を行いますが、それ以外の主幹枝(古い結果枝)に対しては、剪定/整枝を施して、新梢の発芽を促します。


C


D

本州では芽傷処理を木が活動を始める冬の間にやるらしいが、北海道の冬は厳しいので、早春の作業になります。


(2)発芽促進を促すために芽傷処理に加えて液肥(メリット青液)の塗布を行う。

寒さも和らいだ快晴の今日(3月16日)、金切ノコの歯で芽傷をつけた後、
葉面散布用(葉面散布時は300倍に薄める)の液肥(メリット青液)を2倍に希釈して、刷毛で芽・芽傷部分に塗っていきます。これは芽傷処理を行わなかった芽も含めてすべての芽に対して行う。



メリット青を刷毛で芽・芽傷部分に塗る。(2倍液)
https://ameblo.jp/ibseikaken/entry-12116877140.html

刷毛の塗りの力加減が意外に難しくて、強く当たると、せっかく生えてきた芽がポロリと取れたりする。






明日から雨になる予報なので、外のブドウの木にはメリット青液にダインを滴下して、粘りを加えて塗る。
泡立って、滞留しやすいし塗りやすい。 これからはこれで行こう!



たっぷりと塗ってやったぜ。

効果は如何に!

今は、枯れ木のような侘しいブドウ棚ですが、間もなく、新梢や花穂に覆われる日がやってくるでしょう。

それを信じて、
その日が来るのを楽しみに待つことにします。